引っ越し業者で働いてるんだけど、これは去年の冬にあった話。
一人暮らしのお年寄りが亡くなって、その部屋の遺品整理も兼ねた引っ越し作業を頼まれたことがあった。
親族の方の立ち会いのもと、家具や荷物を運び出していく普通の現場だったんだけど、押し入れの奥から古いアルバムが一冊出てきたのよ。
親族の方に渡そうとしたら、「うちの祖父、写真とか嫌いな人だったから、そんなの残してないはずなんですけど」って不思議そうな顔をされて。
一応中を見せてもらったら、古い白黒写真が何枚か貼ってあって、全部同じ部屋、今まさに自分たちが作業してるこの部屋を写したものだった。
年代的に、明らかに今の住人が越してくるずっと前の写真だったんだけど、その中の一枚に、部屋の隅に人影みたいなのがぼんやり写り込んでるのがあって。
親族の方も「こんな写真、見たことない」の一点張りで。
結局、そのアルバムだけは処分せず、お寺で供養してもらうことになったんだけど。
後日、その部屋の解体作業に別の同僚が入ったとき、押し入れの同じ場所から、また別の古い写真が一枚だけ出てきたらしい。
今度も同じ部屋を写したもので、隅の人影が、心なしか前より少しだけ、こちらに近づいているように見えたって言ってた。

コメント