一人暮らしのアパートに風呂がなく、近所の銭湯に通っている。
いつも使っている店が定休日だった日、少し足を延ばして、別の銭湯に行ってみることにした。
脱衣所に入ると、平日の昼間ということもあって、利用客はまばらだった。空いているロッカーを選び、荷物を入れて鍵をかけた。鍵には、木製の丸い札がついていて、番号は「17」と書かれていた。
浴室でゆっくり湯船に浸かり、一時間ほど過ごしてから脱衣所に戻った。
鍵の番号を確認し、ロッカーの扉を開けると、中に入っていたのは、自分の荷物ではなかった。
古びた着物と、使い込まれた木製の下駄が、丁寧に畳まれて置かれていた。慌てて番号を確認し直したが、鍵は間違いなく「17」だった。
近くにいた番台のおばあさんに声をかけ、事情を説明した。おばあさんは怪訝そうな顔をしながら、一緒にロッカーを確認しに来てくれた。
だが、扉を開けると、中には自分の荷物が普通に入っていた。着物も下駄も、どこにも見当たらなかった。
「勘違いじゃないですか」
そう言われ、それ以上は強く言えず、着替えて店を出た。
後日、常連らしき別の客にそれとなく聞いてみたところ、少し声を潜めてこう言われた。
「その番号のロッカー、たまにそういう話、聞くんだよね」
詳しい経緯までは、その客も知らないとのことだった。
それ以来、あの銭湯に行くことはなくなったが、今でも「17」という数字を見るたびに、あの古びた着物の柄が、頭の片隅にちらつくことがある。

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