【1分怪談】友人の新居

大学時代の友人が、去年、新築の一戸建てを購入した。地元を離れて就職し、しばらく疎遠になっていたが、家を建てたと連絡をもらい、久しぶりに顔を合わせることになった。

引っ越し祝いも兼ねて、友人数人で泊まりがけで遊びに行くことになった。夜遅くまで飲み明かし、昔話に花を咲かせながら、それぞれ客間に用意された布団で眠ることになった。

自分に割り当てられたのは、二階の一番奥にある部屋だった。真新しい壁紙とフローリングの匂いがまだ残っていて、家具もほとんど置かれていない、がらんとした空間だった。友人いわく、将来子供部屋にする予定の、今はまだ何も決まっていない部屋とのことだった。

夜中、ふと目が覚めた。理由は分からなかったが、妙に喉が渇いていて、水を取りに一階のキッチンへ向かうことにした。

階段を下りている途中、リビングの明かりが、うっすらとついているのに気づいた。誰か起きているのかと思い覗いてみたが、部屋には誰もいなかった。

不思議に思いながらも、水を飲んで部屋に戻った。布団に入り直そうとしたとき、壁際に、自分の荷物ではない小さな段ボール箱が一つ、置かれていることに気づいた。ガムテープで封もされておらず、蓋が軽く閉じられているだけの状態だった。

友人の荷物かと思い、特に気にせず眠りについた。夜中に何度か目が覚めた気もしたが、疲れもあってか、すぐにまた眠りに落ちてしまった。

翌朝、リビングに集まった際、なんとなくその話をしてみた。すると、家主である友人が、少し表情を曇らせてこう言った。

「あの部屋、まだ何にも荷物置いてないはずなんだけど」

段ボール箱について尋ねると、友人にも心当たりはないという。奥さんにも確認してもらったが、同じく身に覚えがない様子だった。念のため一緒に確認しに行ったが、その部屋には、自分の布団以外、何も置かれていなかった。壁際を隅々まで見ても、段ボール箱はおろか、それらしい跡すら見当たらなかった。

夜中に見た段ボール箱も、リビングの明かりのことも、それ以上は誰にも説明がつかないままだった。

それ以来、その家に泊まる機会があっても、二階の奥の部屋だけは、なるべく避けるようにしている。

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