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これは友人から聞いた、実際にあった話です。
去年の盆休み、田舎の祖母の家に泊まったときのこと。
祖母の家は築50年を超える古い日本家屋で、廊下の突き当たりに大きな柱時計が掛かっている。子供の頃から「あの時計には絶対に近づくな」と言われていた。理由は聞いたことがなかったし、特に気にしたこともなかった。
その夜、夜中の2時頃にふと目が覚めた。
理由は単純で、いつもなら聞こえるはずの時計の音が、聞こえなかったからだ。
「壊れたのかな」
そう思って廊下に出ると、時計の針はちゃんと動いていた。秒針もコチコチと普通に進んでいる。ただ、音だけがしない。
不思議に思って近づこうとしたとき、後ろから祖母の声がした。
「近づくな言うたやろ」
振り返ると、祖母が真顔で立っていた。声はいつもより低く、こちらを見る目が笑っていなかった。
「あの時計はな、針の音が聞こえんようになったら、誰かが呼ばれとる合図なんや」
意味がわからず聞き返そうとしたが、祖母は何も言わず私を寝室に押し戻した。
翌朝、時計は何事もなかったかのように、いつも通りコチコチと音を立てていた。
それから3日後、隣町に住んでいた祖母の妹が、自宅で静かに息を引き取ったと連絡が来た。
亡くなった時刻を聞くと、ちょうど私が時計の異変に気づいた、あの夜中の2時頃だったという。
それ以来、あの時計の前を通るときは、無意識に足早になってしまう。
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